南米の常識と奇跡


カラファテでは洗車をしたりバイク用品を買うつもりだったが思うようには行かなかった。車の洗車場は見付かったが、洗っている途中で“バイクは洗わせない”と嫌な従業員にケチを付けられて水を停められ、そのくせ金は要求されて口喧嘩になった(結局半額しか払わなかった)。
 サンパウロを出てから1万km近くエンジンオイルを交換していなかったし、リアタイヤはそろそろ交換時期だったのでバイク屋を探したが無かった。バイク用エンジンオイルを扱う店を探し出したけれども丁度品切れ。夕方入荷するという話だったけれど夕方には無く、明日には絶対届くという言葉を信じて宿を探し、結局泊れたのは狭い敷地にテントだらけのキャンプ場。ここでBMW650の変人ライダー、カルロスに再会したのは嬉しかったがやはり僕らの様な旅行者には少々居心地の悪い町だった。彼は丁度僕が立小便で苦労した辺りでドライブチェーンが切れてしまい、やはり停まってくれたトラックに載せてもらいこの町に来ていた。彼もまたチェーンを探さなければならなかったが、全く幸運にも町に住む親切なバイク乗りからチェーンのリンクを無料で分けてもらうことが出来た。僕の方は結局翌日もオイルは入荷せず。これだけの大きさの町で手に入らないのだから、この先何時お目にかかれるかわからず頭が痛い。仕方なく緊急用として車用のオイルだけを手に入れて出発した。
 何とかなりそうでどうにもならないのが南米で、どうにもなりそうもなくて何とかなってしまうのが南米でもある。