マゼラン海峡と欧州人のモーターホーム


 チリに入ると風景は変わらないのに道路の雰囲気が違うから別の国に来た感覚があるから面白い。道路の呼び名も国道3号から国道255に変わる。40kmほど先で左折した先にマゼラン海峡をフエゴ島に渡るフェリー乗り場がある。海峡のこの部分は狭く、20分程で渡れてしまう。バイクは24ペソ(800円)と安い。風がやはり強く寒々とした風景だし実際にとても寒くて暫く温かいレストランから離れられなかった。ここで心がくじけたので今日はここにある灯台の横でテントを張ることにした。灯台の横にはドイツナンバーを付けた3台のキャンピングカーもいた。うち2台は大きなトラックを家の様に改造したもので自転車などをくくりつけていたりしていて長旅をしているのがわかる。恐らくアラスカからアメリカ大陸縦断の旅をしているのか世界一周旅行の途中なのだろう。こうした旅行者は多くはないが稀に見かける。その殆どがドイツ人、スイス人、フランス人の初老の夫婦だ。その後知り合ったトラックで世界を旅しているスイス人によると、ドイツ人、スイス人は貯蓄をする民族だから貯めたお金で世界を旅する人が多いしヨーロッパのテレビ番組で南米を旅する人気の企画があったから憧れがあるのだそうだ。
 
寒いのでテントに閉じこもりながら彼らの広くて温かいキャンピングカーを想像して、僕もいつか同じ様な豪華な旅をする日がくるのだろうかと羨んだけれど、走り出してしまうとやっぱり地球と共にある感じがするバイクの方がずっと楽しいなと思う。そして初老の頃にはバイクで旅する今のような体力も気力も無いだろう。やっぱり今が最高だ。テントの中は温かくて最高だ。