個人的冒険への出発


2007.12.13〜12.17 ブラジル
サンパウロ → バウルー → イグアスの滝
Sao Paulo → Bauru → Foz Do Iguasu)

出発の日は朝から雨が降っていた。“雨だから出発は延ばしたら”とデバニールが職場から電話してきてくれたけれど、僕のために自分の部屋をもう3週間も使わせてくれていたイナダさんにとても申し訳ないと思っていたし、何より旅が待ちきれなかったから雨の中を飛び出していった。

目的地には2つの候補があった。1つはブラジルを北上して出張で2回行った事があり友人の居るアマゾンの都市マナウスへ行く南米の北の旅、もう1つは南米最南端の町、アルゼンチンのウシュアイアを目指す南米の南半分の旅。迷ったが最南端という響きと分かりやすさという単純な理由で南を目指すことにした。いつも不思議に思うのだが、人は何故最南端、極点、山の最高峰などなど端っこへ行きたがるのだろうか?猿やチンパンジーも同じだろうか?いや恐らく人間だけだろう。
 最近読んだ本にこんな格好良い言葉が書いてあった。“冒険とは知的好奇心の肉体的表現である”と。南米は道路がはりめぐらされ、未知の土地など無いからバイク旅行など冒険とは呼べないかもしれない。でも少なくとも個人的な知的好奇心の探究ではあるから“個人的冒険”とでも呼んでおこうか。
 サッカーの中田英寿選手は引退して自分探しの世界一人旅(但しテレビクルー付き)をし、先日それを映した番組をやっていた。人は何故冒険をするのだろうか。彼が知的好奇心にこだわった様に僕は自分のバイクで南米の地図に軌跡を描くという肉体的表現にこだわった。


 ブラジルを南下しウルグアイを越えてアルゼンチンのブエノスアイレスに入る方が近道だし、ブラジル南部は美人も多いから心が揺れたけれど、南部は仕事で旅をしたことがあったし、有名なイグアスの滝を見てみたかったこともあり、先ずは西へ向かうことにした。