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ボルハと別れて北上を続け、40号から少し内陸に入ったラスマノス洞窟(CUEVAS DE LAS MANOS)を見に行った。谷はグランドキャニオンを小さくしたような美しいもので、9千年前の古代人の手形や壁画が描かれた洞窟が世界遺産に指定されている。9千年前の人達はここで何を考えてどんな生活していたのだろうかと思いは時空を巡る。とても貴重な場所だけれど、こんな辺鄙なところにあるから1日20人くらいしか人が来ないそうだ。
40号へ戻ってBajo Caracolesの部落のガソリンスタンドで地図を眺めていると、ここからチリへ抜けるとってもマイナーと思われるルートがあった。更には国境沿いにロスアンティゴス(Los Antiguos)へ抜ける獣道みたいなルートもある。40号線はちょっと単調で飽きてきていたし、先も地図を見ると想像出来てしまう。だから地図上にかすかに示される未知のルートに冒険心をかきたてられて40号を離れた。
これが大成功だった。本当に道なのか頼りなくなる道を進み、標識も出ていない分岐を何となく頭の中のGPSを頼りに選ぶ。山が近くなりくねくねとカーブが続き夕闇迫る頃に綺麗な小川の辺でテントを張る。この間数時間車に遭わない。夜トラックが1台挨拶のクラクションを鳴らして近くを通り過ぎたので、どうやらこの先にも道が通じているらしいと分かる。翌日世界に色が戻ると、ここがとんでもなく素晴らしい場所だったことに気付く。国境近くはアルプスの少女ハイジが出てきそうな奥行きのある山と緑の谷が広がり平和だった。想像通り国境はとてもとてもマイナーで、車の轍を見ても恐らく1日5台は通らないルートではなかろうか。ロバロス峠(Paso
Roballos)のアルゼンチンの国境係官に、このままチリに抜けるかアルゼンチン側をロスアンティゴスへ上がった方が景色が良いか相談するとアルゼンチン側を薦められた。まあ、アルゼンチン人だからアルゼンチンを勧めるのが当たり前かも知れないが。薦められた道では何度かダチョウを見たけれど車は1日走って2台しか遭わなかった。そして確かに筆舌に尽くせぬほど美しかった。しかしどちらの道を選んだところでこの辺り一体は全て美しいのだろう。
ロスアンティゴスではガソリンタンクを買わなければならなかった。悪路の振動で後ろにくくり付けていたガソリンタンクが落ちてしまい穴が開いてしまったのだ。ガソリンもこぼれてしまったけれど幸いガス欠にならずに助かった。これからもガソリン入手が困難な道が続きそうだし直ぐに国境のチリ側の町チレチコ(Chile Chico)へ向かうつもりだったのでガソリンが断然安いアルゼンチン側で少しでも多く確保したかった。雑貨屋を探したけれども見付からない。すると雑貨屋の前に居た青年が“家にいくつもあるから”と言ってポリタンクを分けてくれた。何処へ行っても良い人ばかりだ。運も王様の味方になってくれているのだろう。